te al latte

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 かららん、と鳴る店の扉からお客さんが来た。 私も見た事がある常連さんで、いつもの小さな二人掛けのテーブルにつく。 と、目が合ってしまってお互いに軽く会釈した。 「ほい、ダージリンミルク」  かちゃ、と目の前に置かれたカップを包み込むように握る。 温かい。 「眼鏡曇ってんぞー」 「デメキン隠してんの!」  甘くて、美味しい。 むかつくけれど、ほっ、とする。 ほっとして、緩んでくる。  眼鏡かけたとこ、一度も見せた事なかったなぁ。 うまく甘えられたらよかった、もっと、色んな私を見せたらよかったなぁ……。  すん、と鼻を啜ると。 「見ねぇから泣け泣け」  ニモはすぐに気づいてくれた。 まだ零れていない。 我慢してる。 泣きたくない。 もういっぱい泣いたから。 なのに。 「むー……」
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