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カフェ『dernier』は僕のお気に入りの店で、常連になるのは早かった。
というよりも覚えられたという感じだろうか。
カウンターの真後ろにある小さなテーブル席が定位置、そして注文は決まってこれ。
コーラだ。
あー……もう一息。
ハーフリムの眼鏡を外してコーラを一口。
甘い刺激が口の中で弾けていく。
……満席。
集中していたせいか、店の中が賑やかなのにやっと気づいた。
ちゃっ、と眼鏡をかけ直して顎に出来た無精ひげをなぞる。
知った顔、知らない顏、子供、大人。
――目の前には、知らない顏があった。
正確には横顔。
……僕は一人で店に来て、このテーブル席には一人でついた、はず――あ。
目が、合った。
「すみません。気が散りました?」
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