赤い雨

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帰ってきてすぐ、私はお姉ちゃん達に何があったのかと心配された。 リーンがその説明をしている間、私はまた、視界が赤くなった気がして、頭を振る。 「レイラ、大丈夫か?」 そう尋ねてくるのは、もえぎ色のショートヘアに、深緑の瞳を持つ女性。 風の将、パーシーだ。 少し男勝りな顔立ちで、言動もそんな感じだけれど、私にとっては気の許せる大切な女友達だ。 「ふゆっ、大丈夫なのっ! リーンの説明通りの症状しかないの!」 そうゆうと、パーシーはとりあえず頭を撫でてくれる。 ……何だか、頭を撫でられるだけで、体調がよくなってしまう気がする。 「とにかく、レイラはベッドにいきましょうね?」 「そうね、ほらっ、パーシー、レイラから離れて、レイラを連れていくわよっ」 「あ、あぁ、分かった」 どうやら話は終わったらしい。 なぜかお姉ちゃんとフィーがパーシーをギラギラした目で見ている気がしたけれど……きっと、大丈夫なの。 ……喉、渇いたなぁ…。 少し喉を押さえて、部屋までは我慢しようと決めると歩き出す。 「シェラっ、レイラは大丈夫かいっ」 「レイラっ、体調は?」 歩き出してすぐに、私は走って来たらしい二人に出会う。 栗色の癖っ毛に、同じく栗色の瞳を持つ小柄な男性。 大地の将、マディン。 そして、二メートル近い長身に、夕陽のようなオレンジの髪と瞳を持つ男性。 炎の将、アシュレーの二人だ。 たしか、今日はお仕事が忙しかったはずだけれど……。 「二人とも、レイラが心配なのは分かりますが、仕事はどうしたのですか?」 フィーがそう尋ねると、二人は胸を張って宣言する。 「もちろん、部下に押しつけてきたよ!」 「無論、俺もそうしてきた」 「……シェラ、わたくしはレイラの治療を行いますが、二人を仕事に戻しておいてもらえますか?」 「分かったわ。レイラをお願いね?」 なぜか、フィーの笑顔を見たマディンとアシュレーの顔色が悪くなったような気がしたけれど、私はそのままフィーに連れられて中央棟へと入る。 中央棟の三階は、お姉ちゃん、パーシー、フィーの三人がそれぞれ別の部屋で暮らしているから、そのどこかに行くのだろう。
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