赤い雨

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降り注ぐ雨の音が、耳につく。 ピチャピチャと、頬を濡らしては伝い落ちる。 あぁ、でも、きっとこれは、違う。 その雨には色がある。 赤い、赤い、色がある。 雨じゃない。 それなら、それなら一体、これはなんだろう? 頬を濡らす、この赤は? これは……現実? すぅっと、目が覚める。 また、あの夢だ。 ここ最近、ずっとこんな夢ばかりで、いい加減気が滅入りそうだった。 「ふゆぅ……」 ミルク色のウサギの耳に、純白の翼。 腰まで伸びたフワフワの銀髪。 そして、瑠璃色の瞳。 人間の少女の姿に近い異種族。 これが、私。 キメラであり、つい最近竜王になった私。 お仕事は、人間みたいにたくさんはなくて、ただ、ときどきガルド達のところに行って子供達の相手をしたり、色々な人間との交流に関して、会議をしたりするくらい。 最初は、貿易するにしても何があるのか分からなかったけれど、あれからモナに色々と見てもらって、禁域にはたくさんの貴重な鉱石があることが分かった。 それを目玉にして、他にもあった竜の谷限定で存在している珍しい植物なんかを提供していくことになっている。 全部順調で、何も問題はない。 ただ、最近はどんどん暑くなってきて、喉がよく渇くだけ。
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