赤い雨

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目が覚めた私がまず行うのは、一緒にいる人物への挨拶だ。 「おはようなの!」 「ん、おはよう、レイラ」 美しい金髪に金の瞳を持つその女性は、私のお姉ちゃん。 シェラ・ハスフェルト。 このロザリア王国の王様でもある。 ふわりと微笑んで、私の隣にいてくれるお姉ちゃんに、私は心から安心する。 なんだか、それが『ここにいてもいいよ』とゆわれているみたいで、心がポカポカになるのだ。 「さぁ、フィスカが来るまでに身支度を整えて、朝御飯を食べるわよ」 「ふゆっ、分かったの!」 白のネグリジェを着ていた私は、お姉ちゃんの言葉ですぐにベッドから降り、慌ただしく準備をはじめる。 複雑な服になると、さすがに私一人で着ることはできないけれど、ワンピースくらいならちゃんと着れる。 今日は、スカートの裾に大きなヒマワリが一つついた、白のワンピースだ。 ついでに、今年は『春夏の年』で、だんだんと暑くなってくる年なのだそうだ。 だから、必然的に私が選ぶワンピースは、袖が短いものが多くなっている。 ……お姉ちゃん達は『今からが暑くなってくるのに、もう暑いと言っていて大丈夫なのか?』って心配してくるけれど…。 私の方が、ずっとずっと心配してる。 これ以上暑くなるなんて、耐えられそうにないの……。 そんな、これからの心配をしながらも、ちゃんと髪をとかして、お顔も洗って、羽もちゃんと繕って、朝の準備を進める。 私の友達であり、聖獣という種族である桜色の小鳥。 頭に青と黄色の羽を生やした、チェリーバードのチックに、ちゃんと毎日羽のお手入れをしなきゃメッて注意されているから、毎日毎日、お手入れを欠かしたことはない。
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