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髪をとかしたブラシについた髪と、繕って抜けた羽は、ちゃんとゴミ箱まで持っていって、ポイッてするの!
そうやって、ちゃんとお姉ちゃん達にゆわれたことを復習しながら、私は準備をすませる。
コンコンコン。
お姉ちゃんの扉がノックされ、私はすぐさまそれがフィーだと気づく。
「フィー! おはようなの!」
お姉ちゃんが開けるよりも先に、私の方がフィーがノックした扉を開ける。
「おはようございます。レイラ」
フワリと微笑む、少し幼さを残した顔立ちの女性。
深海を思わせる蒼をその髪と瞳にたたえた彼女は、このロザリア王国で王の側近であり参謀役を担っている。
役職としては、『水の将』と呼ばれ、王様のシェラお姉ちゃんが行方知れずの間、ずっとその帰りを待ち続け、王の代役を勤めた実績もある。
「おはよう。フィスカ」
「えぇ、シェラも、おはようございます」
フィーがシェラに挨拶をしたところで、私のお腹はキュウゥと鳴る。
さっきから、とってもいい匂いがしてるから、仕方ないのっ!
そう思ってはみるけれど、きっと顔は赤くなっていることだろう。
「ふふっ、レイラも待ちきれないようですから、早く食事にしましょうか」
「えぇ、そうね」
「……ふゆぅ」
クスクスと笑う二人の様子に、私は顔を隠すためにうつむくことしかできなかった。
「それでは、三つ柱の神に感謝をして、いただきましょう」
「えぇ、いただきます」
「ふゆっ、いただきますなの!」
テーブルの上に置かれた暖かいスープと焼きたてのパン、摘みたてのハーブと野菜を特製のソースで和えたサラダ。
それらを前に、私は元気に神様への感謝を告げる。
これが、私の大切な一日のはじまりだ。
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