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毎日、朝ごはんは誰かと食べているけれど、必ずお姉ちゃんとフィーの二人と食べているわけではない。
マディンとかアシュレーとか、パーシーとかチックとか、私を大切に思ってくれている色々な相手と食事をしている。
ちょっと前までは、私に毒を盛ろうとする人がたくさんいて、フィーが作ってくれた料理しか食べていなかった。
お姉ちゃん達は、私が毒を盛られる可能性を危惧していたのと、私が何も知らないと思っていたのとで、フィーに料理を作ってもらうようにしていたらしい。
ただ、最近はそんなことも減ってきたし、私が毒入りの食べ物を見分けられることをお姉ちゃん達が知ってからは、普通に食堂の食べ物を持ってきてくれることも多くなった。
……もちろん、フィーの料理が一番好きだから、たまに今日みたいにフィーの料理を食べられたら嬉しいの!
フワフワで熱々なパンを頬張りながら、私の耳はパタパタと喜びを表現する。
「ふふっ、喜んでもらえて何よりですよ」
「うんっ! とっても美味しいの!」
お腹が空いていたこともあり、その食事は私に充分な幸福感を与えてくれる。
いや、食事だけじゃない。
お姉ちゃん達と、何の気兼ねもなく一緒にいられるということが、一番の幸せなのだ。
「ごちそうさまでした、なの!」
食べ終えた私は、そう言うと、ほどよい満腹感にほぅっとため息を吐く。
しかし……。
「……?」
スープも飲んだし、ハーブティーも飲んだはずなのに、喉が渇いているような気がした。
些細な異変。
ただ、そのときはまだ、この異変が深刻なものになるとも知らず、軽く無視してしまう。
また後で、何か飲めばいいのだ、と……。
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