赤い雨

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「ピュ?」 「ピューピュ?」 子供達は、すぐさま私の異変に気づき、私を見上げてその細長い首をかしげる。 「あっ、な、何でもないのっ」 気のせい。 きっと、今のは気のせい。 そう自分にゆって聞かせた私は、子供達を前に取り繕う。 けれど、私は失念していた。 竜という種族に嘘は通じない。 「ピュー!」 「ピュピュピューッ!」 「ふ、ふゆっ!?」 子供達は、私の嘘を容易く見破り、心配そうに私の周りへと集まる。 「ふゆっ、だいじょーぶなのっ! ちょっと視界がおかしかっただけなの!」 今度は本当のことをゆった。 だから、大丈夫だなどと思っていると、それを聞き咎めた大人がいた。 「レイラ殿……体調、悪い?」 「ふゆっ!?」 そこにいたのは、真っ黒な体毛を持つ竜。 翠の瞳で真っ直ぐに私を見るその竜の名は、ヒューマだ。 「えっと、えっと、ヒューマ、いつからそこに……?」 ヒューマがこの空間に入ってきていることに気づかなかった。 私は、耳がいいから、大人の竜が入ってくればすぐに気づくはずなのに……。 「『何でもない』と……話しているところから………でも、レイラ殿……やはり、体調が悪い…………ガルドに報告する」 「えっ、えっと、あのね、本当に大丈夫で……」 「レイラ殿!」 「リーン!?」 大丈夫だから報告しなくてもいいのだと主張しようとしたところで、ガルドと同じ真っ白な体毛に翠の目を持つ竜が現れる。 ガルドとの外見の違いといえば、その体の大きさと巻き角の有無が特徴的だが、私は普通にその顔で判別ができる。 その竜の名はアイリーン。 私は愛称として『リーン』と呼んでいる。 「レイラ殿っ、体調が悪いのですか!」 ……いつの間にか伝わってるの!? リーンが来たことで、私は即座にその場から退散させられる。 とりあえず、養生しておくようにとガルドにゆわれた私は、大丈夫なのにと思いながらもお姉ちゃん達と連絡を取るのだった。
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