第一章 魔女と僕

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このまま放置していれば、少女はそう遠くなく死を迎えるだろう。 「家はすぐ側か……」 少女の伸ばした左手の延長線上に、僕の自宅の軒裏があった。 道は下っているし、運ぼうと思えば運べる。 「どうしよう……」 何が一番、僕にとって有益かを考えた。 褒賞金、騎士団への加入、魔女の研究…… 「いや、待てよ……」 魔女を利用する。 これが最も僕にとって有益ではなかろうか。 そうだ。魔女を差し出したからといって、褒賞金が貰えるとも限らない。 それどころか、存在を秘匿するために、僕がころされてしまう可能性もある。 むしろ、後者の可能性が高い。 ともあれ、少女が生きていなければ、何も始まらないんだ。 「……たす、け……て」 「ーー!?」 僕が思案していると、少女は微かに目を開き、消え入りそうな声で懇願した。 瞳の端から、一筋の涙を流して。 「……運ぼう」 情に流されたわけではないが、僕は少女を自宅へ運ぶことにした。
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