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少女は思いのほか軽く、僕の貧弱な両腕でも抱き上げることができた。
木々の合間を縫うように進み、人目を忍んで自宅の裏から運び入れる。
薄汚れたベッドへ少女を寝かせ、とりあえず止血を優先した。
義務教育で習う程度の医方術〈イホウジュツ〉だ。
傷口を消毒し、強く圧迫する。
血が止まるまで時間がかかりそうなので、適当なタオルを強く巻き付けた。
腫れ上がっている足は、とりあえずあて技をし、こちらもタオルで巻く。
体温が下がらないように毛布を三枚重ね、額に濡れタオルを置いた。
「……っと、戻らなきゃ」
僕が行方知れずでも捜さないだろうけど、念のためにバリラのもとへ向かう。
山を駆け登り、清流沿いを北へ急いだ。
「愚図が」
「……申し訳ありません」
戻るや否や、罵声を浴びた。
何も見つけられなかった、と報告すると、つまらなそうにバリラは仲間達と馬車へ戻っていった。
僕は当然おいてけぼりだが、それはそれで好都合だ。
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