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医方術の本には、傷や病に効能のある薬草が描かれていた。
記憶を掘り起こし、絵と似た草を探し回る。
「これがヨモギ……だったかな?」
数種類の薬草を摘み、ついでに食べられそうな木の実と山菜を採取した。
山へは無許可で立ち入れないので、今を逃せばありつけない。
シャツを脱ぎ、首もとと袖口を結んで、袋の代わりに使う。
両手で抱える量に達し、暗くならないうちに山を降りた。
夕方に入り、早朝から働いていた面々が畑から戻ってきた。
僕は見つからないように軒裏を移動し、自宅へと急ぐ。
「……ただいま」
薄暗い部屋の扉を開け、僕は室内を見渡した。
少女はベッドで健やかな寝息をたてている。
僕は胸を撫で下ろし、薬草をすり鉢で細かくし調合した。
「うわぁ……臭い……」
ツンとした悪臭に眉を中央へ寄せ、両手を目一杯伸ばしてすり鉢を運ぶ。
少女は大量に汗を掻いており、僕はタオルと着替えを用意した。
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