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「名前、なんていうの? 僕はクラン」
「……サリナ・アカツキ」
「サリナ……変わった名前だね? 他所から来たんだ?」
「……そうよ」
訊けば、サリナは十四歳で、僕の三つ下だった。
アリアと同じ年齢だ。
……生きていたのなら、ね。
名前から察するに、東の島国が出身地だろう。
「……あなたは、一人でここに?」
サリナは上半身を起こし、痛む右肩を擦りながら訊ねてきた。
僕は苦笑し、頷く。
「妹が……いたんだ」
「……そう」
アリアの存在をほのめかしたが、サリナは何も訊かなかった。
ただ、身に纏ったワンピースを一瞥し、察したかのごとく瞳を閉じる。
その横顔を改めてみると、怖いぐらいに整った顔立ちをしていた。
カールした長い睫毛、二重のつぶらな瞳、凛とした鼻にふっくらとした唇。
サリナが黒髪、黒眼でなければ、国王の側室に選ばれてもおかしくない。
「……なに?」
視線を感じ、心を見透かすかのような、透き通る眼をこちらへ向け、サリナは首をかしげた。
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