第一章 魔女と僕

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「いや、何でもないよ。それより、なにか口に入れる? 木の実と山菜のスープならあるけど」 「……いただくわ」 「わかった。少し待っててね」 僕は台所で作り置きしていたスープを温めに、その場を離れた。 すると、サリナは鼻を動かし、体から発せられる臭いに嫌そうな顔をした。 傷口へ調合した薬草を塗り込んだせいで、近づくとツンとした臭いが鼻を衝く。 スープを運び、僕は勝手に着替えさせたことと、臭いの原因について謝罪した。 「いいの。助けてくれたんでしょう?」 「あ……うん」 サリナは初めて微笑み、僕へ礼を言う。 僕は彼女を利用しようとしていた罪悪感に苛まれ、複雑な笑みを浮かべた。 「……苦い」 「ごめん。調味料がろくに無くて……」 「でも、とても温かいわ」 「……そっか。食べたらもう少し眠るといいよ」 「そうする」 スープをたいらげ、サリナは横になり眠った。 食器を片付けながら、僕は今後について頭を悩ませる。
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