第一章 魔女と僕

19/35
前へ
/38ページ
次へ
王族に最も近い、特級貴族。 その中で、国王の側近とされる人物の許へ、アリアは奉公人として献上された。 アリアはたいそう気に入られ、可愛がられていたそうだ。 だが、それをよく思わない人物がいた。 当主の正妻だ。 アリアを目の敵にし、虐めに虐めぬいたらしい。 そして、アリアは倉庫へ連れていかれ、正妻の雇ったゴロツキ達に犯された。 泣き叫ぶさまを、正妻は高笑いをしながら傍観していたそうだ。 これは、不憫に思った執事の一人から聞かされた話。 最終的にアリアは殺され、ゴロツキ達は死罪となった。 真実は闇に葬られたのだ。 思い出すだけで胸糞の悪くなる話だ。 最初にそれを聞かされた時、僕は狂ったように叫んだよ。 殺してやる! って。 けれど、その機会は名士達によって奪われ、ただの奴隷として扱われている。 今ではもう、きっと誰も覚えていない。 僕以外、ね。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加