第一章 魔女と僕

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アスタリアには、騎士団と学者会という大きな組織がある。 騎士団は街の警備や、村への派遣を主な仕事としていて、花方的な立ち位置だ。 僕も憧れた時期があり、幼い頃から剣を振っていた。 しかし、僕に剣の才能はなかった。 ならば学者会へ入り、この世の理を解き明かすことに全身全霊を費やそうと思った。 けれど、学者会はコネと血筋が重要視され、どこの馬の骨とも分からない輩は門前払いだった。 アスタリアは就職氷河期で、飽和状態にある。 つまり、その二つに落ちてしまった場合、路頭に迷うしかない。 そして、村へ。 僕は負けたのだ。 社会という大きな歯車から弾き飛ばされた、ただの鉄屑。 だから、願いはいつも同じ。 平和に、変わりのない日々を過ごしたい。 それだけだ。
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