2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
それから1週間ほどたったある日。私がいつものように出勤しようと玄関を出ると、例のお隣さんがごみ袋を片手に部屋から出てきた。
そのゴミの量ときたら、普通なら考えられないほどの大量で、しかも紙ごみがほとんどだった。
「お、おはようございます。ゴミ出しですか?」
「あ……、おはよう、ございます。燃えるゴミ……今日ですよね?」
ボソボソと遠慮がちに話すお隣さんは、私がゴミの日の違いを指摘したと思ったようだ。
「はい。そうですけど……」
私がそう答えると、お隣さんはちょっと照れ臭そうに頭をかいた。
「良かった。ゴミ……溜まっちゃってて、困ってたんです」
「は、はあ……」
私はどう答えていいものか分からなかったが、電車の時間もあるし、そうそうに会話を終わらせた。
「じゃあ、私、仕事なんで」
「ああ……。いってらっしゃい」
「い、いってきます……」
なんだか朝からモヤッとした気分を感じながら、私は駅への道を急いだ。
最初のコメントを投稿しよう!