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会社に着いた私は、給湯室でコーヒーを飲みながらぼんやりと考えていた。
今日はたまたま朝から見かけたが、これまで1度も会ったことがなかったのだ。
何の仕事をしているのか。いや、そもそも仕事をしているのかも分からない。
「なんか、怪しいんだよね……」
「なにが?」
同僚に話しかけられ、自分が独り言を言っていたことに気付く。
「あ、や……。隣に引っ越して来た人がちょっと変わっててね」
「変わってるって?」
「うーん。人は良さそうなんだけど、なんかオタクっぽいっていうか?」
「えっ? オタク!?」
「うん……。しかも、ずっと部屋にいるみたいで、どうも会社勤めしてる感じじゃないんだよね」
「ええ~、大丈夫? 新手のストーカーとかじゃないの?」
「違うよ。全然知らない人だもん」
「バカね。あんたが知らなくても、向こうは知ってるかもしれないじゃない」
「そうかな?」
あんなに変わってる人、会ってたら覚えてると思うんだけどな……。
始業開始のチャイムがなり、私たちは朝礼をするために給湯室を出た。
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