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「ト、トドロキ...今本当に8割で走行しているかい...?」
時刻は22時、ターボ化された超スーパーカーは湾岸線へと繰り出した。
高速域の安定感とスピードはどんな物なのか?やるだけやってみたが穴はあると思うので少しでも穴を減らすテスト走行。
状況も一般車が少なく思い切り飛ばせそう...だがテスト走行なので無茶は出来ない。
「いや7割だな。流石にまだ無理は出来ねぇからマージンをかなりとってるぞ」
(7割でコレなのかい....ハハッ...!ボクの想像以上にスゴイ車になりそーだな...何といってもドライバーがトドロキだからね...!)
V型12気筒ターボが空港中央トンネル内に響き渡る。聞きなれたハズのサウンドに追加された過給音、実質的にニューマシンと捉えていいだろう。
大きく緩く左に曲がったコーナーで260km/hを叩き出すがマージンを取っているので本気で攻めれば300近くは出せそうだ。
「クリフ、やっぱりお前のセッティング予測能力はスゲェな!前例が無いとか言ってこの安定感だ!半端じゃねぇぜ」
車を仕上げるときには過去のデータや経験を駆使して仕上げる事は当たり前だ。
だがある程度は「こんな感じで良いんじゃないか?」「こうすれば良さそうだな?」と言うケースは間違いなくあるだろう。
とりあえず完成した状態から徐々に理想の車を目指し改良する、膨大なデータや前例があれば一発で理想の車に仕上げる事もありうるが、クリフの凄い所は前例がないチューンを施した後の『予測セッティング』の時点で完成度が高いのだ。
超絶的なチューナーの腕前と"勘"にも等しいが、前例の無い車に前例の無いチューンを施し予測でセッティングを行う...通常でなら数ヶ月と掛かっても珍しくない事もクリフなら数時間、数日...下手すれば一発で合格になってしまう。
この才能と能力は間違いなく重宝されるが前述の通り悪用された過去があるので認めた輩以外には奮わない。
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