毒蛇と美女の取り扱い説明書

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化け物過ぎる....首都高全域でここまで酷いパワーを持っている者は数えるくらいしか居ないのでは? 超特大サイズのタイヤでも暴れてしまう144ものハイパートルク。 一定のアクセル開度を越せば勝手に白煙が舞い上がり後ろに付く者の視界を塞ぐ武器になる。意図的に出している事もあるが大体は勝手に出てしまっているだけらしい。 あまりにもトルクが溢れて逆に低速時が非常に辛くなってしまったので、敢えてドッカンターボ気味の特性にしテクニカルセクションでのホイルスピンを軽減させる。 下を削り加速体勢が出来てからパワーが出る曲線を描いているらしい。 ....のだが、結局の所白煙モクモク状態となってしまうのはどうしても抑える事は出来ないのは足回りのセットが適当だから。 先輩である千夏は目立ちたがり屋でありスープラのカラーリングはショッキングピンクとド派手。 パワーも非常に高いのだがその代わりに足回りが適当で、コーナーワークには不安が常に付きまとうアンバランスな車となってしまっていた。 そんな車こそ私に相応しいと操る腕前は流石と言った所か、一時的に璃由良も操っていた事が「あぁ、首都高の車ってこんな感じなのか」と思わせてしまった.... だから依頼したバイパーもパワーと軽さは凄いのだが足回りは適当極まりない。 当然ショップ側で何とかしようとしたが本人が「そのままで良い」と、ダウナーな表情を崩さないで言い切った。 不安定こそ璃由良にとっては"当たり前" 素人に800馬力のスープラを操作させたあの人にも問題はあるのかもしれないが.... 明らかにおかしい状態でも「あぁ、こんな物なんだな、これが普通なんだな」と受け取ってしまい結果的に操れている。操ってしまっている。 むちゃくちゃだ キチンとセットすれば余りあるトルクを抑えこめて不安定さを軽減させる事は間違いない。 だがドライバーがそれを拒否している。"当たり前"を拒否し"ありえない"を強引に通してしまった恐ろしい毒蛇を操る美女。
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