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(……まいっちゃったな。これって、マジでヤバい!? )
倉庫に飛び込んだ私は、痛みで焼けるように熱い足を引きずりながら、柱の影に身を隠して座り込んだ。
でも何で?
何が起きた?
( いきなり撃つかよ! )
「マリ落ち着いて!
深呼吸して……クールダウン!」
私は声に出してパニクる自分自身に囁きかけた。
一…二…三…四…五……
ゆっくりと数を数えながら深呼吸。
上がった息を整える。
月明かりの下、左足に目をやると嘘みたいに赤く濡れていた。
「何これっ!……マジかっ!」
そっと傷口を覗き込みながら左足を動かしてみる。
肉がえぐられたような傷があり、血が溢れて来るが異物感は無かった。
(……かすり傷!? )
傷口にハンカチを押し当てて止血を試みる。
すぐに真っ赤に染まったハンカチを見ていたら、急に恐くなってきた。
だって、もう数センチずれていたら太もも直撃………
動けなくなった私は今頃、サイコ野郎に殺されていた筈。
『プシュ!』サイレンサーを付けたトカレフから放たれた銃弾。
あの時のサイコ野郎の、無表情な瞳が脳裏から離れない。
「……まいったな。レイ、どうしたら良い?」
私は一人言で親友に語りかけた。
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