Ｍ

Ⅰ

　放課後……

授業が終わってまだ間もない時間帯なので、下校する生徒の数は疎らだった。

その中を全力ダッシュで駆けて来る女子生徒がいた。

金髪にちかい茶髪の上には、トレードマークでもある大きな赤いリボンのヘッドドレス。

通学用に使っている背中のボディバックは、キャンディ包みを模したコミカルなデザインで、教科書が入りきるような物ではなく、実際に教科書は一冊も入っていない。

マリである。

マリはスレンダーな体型だが、所謂、痩せの大食いで特にスイーツに関しては底無しとも言える胃袋を持っている。

放課後の日課として、コンビニでプリンを買い食いすることを毎日の楽しみにしているが、今日は空腹のあまり終業のチャイムと共に教室を飛び出して来たのだ。

行き先は勿論コンビニで、いつも行動を共にしている親友のレイは、掃除当番の為に置いてきぼりだった。

( お腹減ったぁーープリン！)

空腹の為の苛立ちと、やっとおやつの時間である悦び……今日は全力ダッシュをしてカロリー消費しているからシュークリームも追加しよう等と考えながら走っていたのだが、校門を目前にして突如足を止めた。

校門を出てすぐの所に男が立っており、マリの中で本能的に警戒アラートが発令した為だった。