第1章 ロシア前線基地①シスター

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ふと思い返した様にユウリを見るとユウリは、泣きそうな表情で優真の袖を強く握りしめていた。 「あ……ユウリ?」 「オネチャン。イクカ。 ユウリオイテ。」 「………。 ごめんね。お姉ちゃん。 やる事があるから。」 「マオウタオスタメカ。」 「うん。 でもお姉ちゃん、必ず帰って……」 「ユウリモイク!!!」 「!?」 「ちょっ……!?」 優真の腕に食らい付き、叫ぶユウリに、度肝を抜かれた留奈と優真。 もはや、良いと言うまで離れない覚悟の様で、優真の腕をぎゅーッと締め付けている。 「でもユウリ。 気のコントロールもまだ出来ないでしょ? これから、お姉ちゃん達が行くところはとても危険な所なの。」 「そうだよ? ユウリちゃんは、ここで待ってた方がいい。」 「ヤダイク! ユウリ、タタカエル! ユウリノキ、オネチャン、オカサンミタイナキチガウ。 モノウゴカス。」 ユウリは、そう言うと片手を翳し、気を解放する。 すると、ユウリがいつも抱いていたぬいぐるみが、ひとりでに歩き出し、優真の膝にちょこんと座りだした。 「これは!?」 「ユウリ……あなた……。」 「ユウリ、ヌイグルミ……ウゴカセル。 ヌイグルミ…ツヨイ。 ソラトベル。 ブキモテル。 タタカエル。」
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