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パラリとページを見るだけでも母の名前が何度も出てくる事がわかる。
〝手帳の持ち主は、よほど母と仲が良かったのだろう〟
そう思いながら手帳を閉じ頷く。
「わかった。
母の墓前に供えます。
その前に、一度読んでも良いだろうか。」
「問題ないけど、覚悟……した方がよいわよ。」
「うん。」
真剣な眼差しで頷き、客室へと向かう留奈。
客室は、サタンと相部屋らしく、サタンは先に寝ていた。
「余程疲れていたのだろうな。
おやすみ、サタン。」
そう呟き、自分は机に座り手帳を読み始める。
そこにかかれていたことは、人一人が死ぬまでの事と、母、玲奈を心配する手帳の持ち主の感情が事細かく書かれており、留奈の瞳から自然と涙が溢れ落ちる。
「………。
ありがとう……ございます…。
この方は、お母さんの事……
ここまで心配して……
自らもこんな境遇だったと言うのに……。」
すすり泣く留奈の声に、寝たふりをしていたサタンは、心の中で留奈を案じるのであった。
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