旅立ち①神崎留奈と異端なる者

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パラリとページを見るだけでも母の名前が何度も出てくる事がわかる。 〝手帳の持ち主は、よほど母と仲が良かったのだろう〟 そう思いながら手帳を閉じ頷く。 「わかった。 母の墓前に供えます。 その前に、一度読んでも良いだろうか。」 「問題ないけど、覚悟……した方がよいわよ。」 「うん。」 真剣な眼差しで頷き、客室へと向かう留奈。 客室は、サタンと相部屋らしく、サタンは先に寝ていた。 「余程疲れていたのだろうな。 おやすみ、サタン。」 そう呟き、自分は机に座り手帳を読み始める。 そこにかかれていたことは、人一人が死ぬまでの事と、母、玲奈を心配する手帳の持ち主の感情が事細かく書かれており、留奈の瞳から自然と涙が溢れ落ちる。 「………。 ありがとう……ございます…。 この方は、お母さんの事…… ここまで心配して…… 自らもこんな境遇だったと言うのに……。」 すすり泣く留奈の声に、寝たふりをしていたサタンは、心の中で留奈を案じるのであった。
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