第1章 ロシア前線基地①シスター

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「…………。 っ!今更私の前に出てきてっ! なんなのよっ!!」 眉間にしわを寄せ、膝をつきながら涙する優真。 涙が凍りつかぬ様、顔を隠し、気で体を温める。 だが不安定な感情では、コントロールもままならず、衣服は凍りついている状態であった。 「もう……ここから離れたいなぁ………。」 ゆっくりと立ち上がり、ふらふらと外へ歩き出す。 荒ぶる天候、気温は-100℃。 極寒の地に今の優真が出ればひとたまりもないだろう。 だが、今の優真にはわからない。 ゆっくりゆっくり足をふらつかせ、外へと向かう。 「オネチャン…オネチャン!」 シェルターの方から声が聞こえる。 だが、優真は取り憑かれた様に足を止める事をしない。 「オネチャン!マテ。 ソトダメ!キケン。」 「!?」 足を掴まれ、やっと声の主の存在に気づいた優真は、はっとなり足元を見る。 そこには、白い湯気の様な息をはいたユウリがいた。 「ユウリ!あんた……」 「オネチャン! ソトキケン、デルダメッ!!」 防寒着を着ながらも、ガタガタと震えながら、今にも泣きそうな表情で、ユウリはシェルター入り口に入ってくる風に飛ばされない様にしがみついてくる。 「オネチャン……。」 「ユウリ!あんた何してるの!!」
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