旅立ち①神崎留奈と異端なる者

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「冷え性…ですか…」 「はい。」 〝まぁ…こんな寒い所で生活していたら冷え性になったのかな?〟 と、知識も無く適当なこじつけで納得し、優真の事を優先に考える事にした。 「優真……。」 「留奈……お姉ちゃん…… 大丈夫だから……。 1日休めば治る。 タタタ……。」 「おい!しっかり!!」 と、家主から受け取った氷嚢を優真の額に当てた。 すると、氷嚢はシュワーと言う音を立て、一瞬で水蒸気と化し消えてしまった。 「!?」 「ヒィ!!?」 「なんて熱なんだ!! 家主!もっと氷嚢を…… 家主?」 留奈が振り返り家主を見ると驚愕し、のけ反っている。 「家主! そうだ!家主の手なら… すまない!家主!力を貸してください!」 「なっ!!?」 家主は、大きく首を振り、拒絶するも留奈は家主の手を無理矢理引っ張り、優真の額に当てようとする。 「お願いします!」 「嫌ぁぁぁぁ!!!」 必死に拒絶するも、留奈の力に叶わず、優真の額に触れると同時に気化していく。 「!? 家主の腕が!!」 「!!!」 留奈が掴んだ所まで溶けた瞬間に腕を隠す家主。 そう、この家主は人間ではなく、日本でも有名な妖怪、雪女。 彼女は、他の雪女と違い、百合が大好きだった為、雪女の中でも異端な存在であった。
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