4人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「家主!?」
雪女は、立ち上がると優真の額に手をかざす。
〝山の神よ。
異端な私ですが、今一度…
力をお貸しください……〟
「吹雪……。」
「!?
家主……。
あなたも………」
雪女の手から吹雪が放出され、優真の額だけをひんやりと冷やしていく。
「なんて……コントロールなんだ……。」
体の一部だけに、集中してブリザードをかける技法など、弥ですら使った所をみたことが無い。
事実、魔力のコントロールが出来るのは、知能を持つモンスターのみであり、人の身で扱える魔力は、コントロールが出来ず、一定量に制限されている。
留奈には出来ない芸当だった。
「あなたは休んでてくださいな。
後は私がなんとかします。」
「家主…。」
雪女は、1日がかりで優真を看病した。
魔力を放出し続け、優真の容態が安定するまで、額を冷やし続けた。
そして、翌朝……。
「うーん。
朝?……優真!?」
起きているつもりだったのだが、途中で眠ってしまった留奈が飛び起き、優真を見るとスヤスヤと眠る姿と、隣に座り満面の笑みを浮かべる雪女の姿があった。
「優真!」
「優真さんは、もう平気ですよ。」
「良かったっ!ありがとう!家主!!」
「持ち直して良かったです……」
と、優真の顔を撫でる雪女。
だが、けして二人に背を見せることは無かった。
家の中は、優真の熱で温められた水蒸気により、湿度が高いムシムシとした熱い状態と言えばなんと無く察しがつくと思う。
最初のコメントを投稿しよう!