旅立ち①神崎留奈と異端なる者

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「ん……ふぁーっ…… ん?留奈……お姉ちゃん? と、あなた……だれ?」 「優真! 目が覚めたか!! この方は、この家の家主だ! 優真を一晩中看病してくれたんだ。」 「あ……。 ありがとうございます。」 「いえ……。 良かったです。 目を覚ましてくれて……」 「本当にありがとう! そうだ!何かお礼を……」 「お礼なら、もういただきました。 あなたたちがいてくれた事が私にとって、何よりのお礼です。」 と、留奈に微笑み立ち上がると戸を開け、出口を指す。 「準備が整いましたら、自分の山にお帰りなさい。」 「山? んー。私達はこれから中国へ行か無くてはいけ無いんだ。」 「中国!? 船はもうありませんよ!?」 「知っている。徒歩で行くつもりだ。」 「!? 徒歩であの砂漠を超えるなんて! 死ぬつもりですか!! 湿度に体を溶かされてしまいますよ!!」 「? 家主…何を言っているかわから無いが、人は暑さで溶けない。」 「!!」 留奈達が人間だったと知り、度肝を抜く雪女。 だが、二人をコレクションにしようと思う気持ちは何処かに行ってしまっており、深くため息をつくと 〝そっかぁー。能力者だったのね〟 と納得し、再び微笑んだ。 「? 家主?」 「なんでもありません。 さぁ…早くお行きなさい。」
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