4人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「?」
こうして、留奈と優真は、雪女に見送られながら、吹雪の中へ戻って行った。
雪女に何度も手を振りながら、その姿が見え無くなるまで雪女も手を振り続ける。
「行って……しまったわね。」
ふぅとため息をつき、その場に崩れ去る様に座り込む雪女。
魔力を消費し過ぎたためか、体が徐々に崩れ、雪の結晶となり、散っていく。
「人間……かぁ………。」
自分が欲しかったものがそこにあった。
優真の為に必死になる留奈が心底羨ましかったと同時にそこまで思われている優真も羨ましかった。
同族だと思っていたとはいえ、雪女にこの様な感情はない。
異端ゆえに、あった感情とも言えようか。
これから雪女は、外壁である氷の体を天に返し、核だけが山へ帰る。
そこで浄化され、全く別の雪女に生まれ変わるのだ。
〝山の神よ。
もし、私が生まれ変わるなら、次は人間に……〟
と祈り、核は山へと飛んでいく。
だが、山の神はそれを許さなかった。
「雪女よ。
それほどまで雪女である事を拒むか……
ならば!次は、人として生を受けるが良い!!」
山の神は、時間の歪みを作り、雪女の核を過去へ飛ばした。
隕石が落ちる前…。
いまから56年前の過去へ。
最初のコメントを投稿しよう!