第1章 ロシア前線基地①シスター

4/11

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「ちょっと!気のコントロールは!? まさか!気を使えないの!!?」 「ワタシ………ニホンゴ……オネチャントハナスタメ……」 もはや、言葉すら聞こえない様子のユウリに 「良いから黙ってなさい!!」 と、優真はユウリを抱き上げ、シェルター内に走り出す。 ユウリは、いつ凍死してもおかしくない状態だ。 一刻を争う為、皮の剥がれた手のひらに、怪我の治療の内気功と体温を温める温気功を同時にかける。 「オネチャン。 アタタカイ。 ユウリ…ネムイ……」 「バカ!寝るんじゃないわよ!!」 「オネチャン……。」 優真は飛び込む様にシェルター内部に入り、ユウリを床に寝かせた。 「しっかりしなさい! まずは服をぬが………っ!?」 あまりの寒さに、服と皮膚がくっついてしまっていた。 このまま脱がせば致命傷となる。 〝このままじゃ……〟 「お願い!もって!! 膨気爆!!!」 ユウリの全身から、水蒸気が煙の様に発する。 古来3000年の歴史を持つ大国では、寒冷地帯で行動する為の工夫として活用していた気功技、房気爆。 その房気爆を昇華し、戦闘向きに改良したのが膨気爆だ。 つまりは、これが本来の使い方だ。 「大丈夫!しっかり!!」 「う………。オネ…チャン…」 優真は、ユウリをシャワールームへと連れて行き、湯で身体を温める。 「湯船はないの!!? 早くしないと……」
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加