第1章 ロシア前線基地①シスター

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「………っ!」 こうしている間にも、ユウリの呼吸は浅くなっていく。 〝内気功とシャワーだけじゃ 間に合わないっ!!〟 優真の頭の中に、拓哉から教わった薬学、漢方の考え方など、様々な知識が巡る。 〝何か方法はないの!? 何か……〟 だが、最善策が思い当たらない。 優真の瞳から涙がこぼれ落ち、ユウリの頬を伝う。 「オネチャン……。 モウイイ……ユウリ……オネチャントアエタ…… モウジウブン」 「!? 馬鹿な事言わないで!!! 絶対!お姉ちゃんが助けてあげる!!」 内気功により治ったユウリの手をぎゅっと握り、祈る思いで内気功をかけ続ける。 「ヤト、オネチャントミトメタ。 アリガトウ。 オネ……チャン…」 「!?」 ユウリの手が優真の手からするりと抜け落ちる。 「!? ユウリ!!!」 とても満足そうな笑みを浮かべ、ユウリは呼吸する事をやめた。 もはや、体力の限界だったのだろう。 「ユウリ! ふざけないで!!! あんたまで私を一人にする気!? 私より先に逝くなんて許さない!!! 目を開けて!ユウリ!ユウリ!!!」 どんな術、医療でも死人は生き返る事などない。 それは、拓哉から何度も聞かされた言葉。
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