第1章 ロシア前線基地①シスター

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医療に携わる者は、最後まで諦めてはいけない。 だが、死にゆくものは止められない。 医療の限界とは身内だけに限らず、悔しく悲しいものだ。 だが、優真は諦めなかった。 〝まだだ!まだ方法が!! ーーーー!?〟 優真の脳裏にある方法が浮かんだ。 それは、陰陽術に等しく、医療とは別の発想からくるもの。 優真の気を操る知識から発生した新たなる技だ。 「最後のかけだけど……… ユウリ。お姉ちゃんに任せて! 絶対助けてあげるから!!」 そう言うと優真は、両手を合わせ、気をため始める。 〝これは……一度きりのチャンス。 私の気をユウリの気袋(タン)に撃ち込む。〟 これは、死に際の人間にしか使えない技。 生きている人間に使えば、ショック死すらありうる危険な技であり、コントロールも難しく、個人に合わせた量の気を打ち込まなければ気袋(タン)は爆発し、二度と復活などあり得ない。 〝お願い!成功して!!〟 「活生気功!!!」 祈る思いで、両手の間に溜まった気をユウリのタンに撃ち込む。 神々しい光がユウリの体を包み込む様に広がり、鼓動が聞こえ始めた。 〝成……功……し…た?〟 「ウ………。」 〝良かった……。 助かった………。〟
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