第1章 ロシア前線基地①シスター

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ユウリの声が聞こえ、ほっとしたせいか、そのまま崩れ去る様に倒れ、気絶してしまった。 それから数時間が経ち。 「う………。 ここ……どこだろ。」 優真が目をさますと、そこはベッドの中。 蛍光灯が眩しく光るだけの部屋に、寝かされていた。 「うっ……たたたた………。 留奈お姉ちゃん達はどこだろう。 ………。 !?ユウリ!!!」 やっと状況が飲み込めた優真は、ユウリを探し辺りを見回す。 ユウリは、優真の隣でスヤスヤと眠っていた。 「ユウリ……良かった。」 ユウリの頬をそっと撫で、優しく微笑む優真は、先程までの 迷いなど、嘘の様に晴れやかな表情をしている。 「ウ……。Moya sestra?(お姉ちゃん?)」 「バカ……。ロシア語じゃわからないわよ。」 「ソダタ…… オネチャン。ヨカタ。 ワタシ……タスカタカ。」 「うん。そうだね。 おかえり。ユウリ。」 「ウー。タダマ。」 と、言いながら抱きつき、頬擦りするユウリに、優真は頭を撫でながら優しく微笑むのであった。 「オネチャン。 アイタカタ。イパイオハナシシタイ。」 「うん。 いっぱいお話しよう。 だから、もうあんな無茶したら駄目! わかった?」 「ワカタ。 ダカラオネチャンモ、ズットイショイヨ。」 「………。うん。」 優真は、頷き苦笑する。 それは、この先ずっとと言う保障などない事を示していた。 優真は、魔王退治の途中であり、また、すぐに旅立たなくてはいけない。 いる事が出来て、後、数日と言うところだろう。 だが、今はそう信じさせる事にした。 ユウリを安心させるために……。
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