怨念

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村一番の高齢の村長は、それまで十字のアザを見た事がなかった。 まさか、この子が村に凶をもたらす不吉な赤ん坊か? 村長は、村1番のお金持ちである痣渓家の息子にそんな事も言えず、何も言わずに帰った。 それから、村長は、役員を招集して、痣渓家の赤ん坊のアザの話を打ち明けた。 痣渓村に伝わる言い伝えでは、十字のアザのある子は5才になったら、生贄として村の神に捧げる事になっている。 時は昭和。まさか、この時代に生贄とは。 痣渓家には、村に沢山の寄付をもらっている。 【十字のアザのある子は村に凶をもたらす】 どうしたらいいものか、と何度か話し合いを重ねたが、なかなか結論に達しなかった。 「生贄の儀式を行うのは難しいだろう。 事故に見せかけて、5才になる前に殺してしまえばいい。 そして、死体をこっそり神に捧げよう」 「それしかないな」
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