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…………そして、事件が起こったのは、その男が引っ越してきてから1ヶ月後のことだった。
夜10時過ぎ、いつものように真っ暗な部屋で窓際の椅子に座っていた私は、異変に気がついた。
まずい!!
直感的に危険を感じ取った私は、とっさにフローリングへ伏せた。鳴り響く銃声、ガラスが割れる音、そして男の叫び声。
ターゲット!?まさかこちらがばれた!?いや、違う、狙いは隣の部屋か!
この部屋が銃撃されたのかと思ったが、違う。端の窓ガラスが1枚割れたが、この銃声にしては被害が小さい。あの悲鳴は隣室の男のものか。私は転がるように部屋を出ると、隣室へと向かった。
幸い隣室のドアは施錠されていなかった。銃声が鳴りやんだのを確認してドアを開けると、体勢を低くして室内を進む。窓の位置が違うだけで間取りはほぼ同じ。一面ガラス片で埋め尽くされた奥の六畳間に隣人は倒れていた。呻き声をあげる彼の回りには血溜まりができていた。
「大丈夫!?」
破片に気を付けながら男の元へたどりついた私は、手早く止血する。肩の怪我がひどいが、命に関わるほどの怪我じゃない。
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