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灰色の塊が降ってくる
床が砕けて小さくなった灰色の塊と真紅に染まる
そして、冷たい闇が辺りを塗りつぶしてくる
そんな闇と灰色の塊に捕まらないようにただ必死に走り回る
出来るだけ暖かく明るいところへ
でも、その前にまた一つの灯が潰れて冷たき闇に飲まれる
それでも逃げづつける
走って走って何度も転んでも走る
ふと、目の前に光が見えた
最後の力を降りしきり小さな光へと掛け込む
眩しいぐらいに照らされた床
なにも語らない静かにいる壁
そして、真ん中には特殊なカプセルに閉じ込められている"蠢く闇"
そこは偽物で出来た明るくて暖かな部屋だった
もう走ることに疲れて潰れてもいいと感じた
どちらにせよ、冷たき闇に飲まれるだけだから
疲労困憊の足を放り出しカプセルにもたれかかる
ふと、"蠢く闇"が目に入った
黒いスライムのような身体から触手のようなものを生やしカプセルを中から叩いていた
恐らく"蠢く闇"もここで朽ちたくはないのだろう
よく見るとカプセルにスイッチらしきものが付いていることに気がついた
もしかしたら、コイツだけ救えるのかもしれないと
しかし、"蠢く闇"は謎多き存在である
だが、自分と同じ人間が生きていくことは不可能であることが変わりなかった
ならば、人間によって創りだされた生物が支配しても構わない
その時、部屋が揺れる強い衝動を感じた
降り始める灰色の塊ーいや、壊れていく建物の残骸が落ちてくる
それまでついていた電気も消え失せ辺りが闇につつまれるのを感じた
闇に飲まれ何も見えなくなる前にカプセルのスイッチを押した
しかし、先程の衝動が原因かスイッチをおしてもカプセルの蓋が開くことは無かった
それでも、諦めずに押すことにした
自分の足はもう動かすことは出来ないからだ
ついに自分がいる部屋の倒壊が始まった
天井が少しづつ壊れていき冷たき闇が包み込まれる
光が消え失せ始め、薄暗くなっていく
天井から落ちてきた破片が少しづつ大きくなっていく
周りがぼんやりとして意識が虚ろになっていく
耳に乾いた音が聞こえた
目の前にはもう何も入ってないカプセルがあった
やっと蓋が開いたお陰で"蠢く闇"は逃げることが出来たのだろう
安心すると同時に部屋は闇に染まった
何故か闇が心地良く感じた
同時にこれが白衣を着た人間の結末だった
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