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残念そうにため息をつき、普通だったケーキのそばに置いた紅茶を飲む
最近、この少年には一つを小さな悩みがあった
それは、自ら料理を造っても美味しいとも不味いとも感じないことだ
「やっぱり、造るんじゃなくてちゃんと材料から作らなきゃ意味がないのか…」
ため息まじりに言いつつ、先程まで使っていたフォークをジィッと見つめる
すると、何処からも無くもう一つのフォークが彼の左手に出現した
フォークについたケーキのクリームやスポンジなどの食べカスを除けばほとんど同じものだと思うだろう
先程から"造る"という言葉を使っているがまさに現象をさしている
目で見た物または、記憶に残っている物を実体化させる
まさに"造る"という言葉が似合うだろう
その時、何かが割れる音がした
少年もその事に気づいたらしく辺りを見回すと一点に視線を向けた
視線の先に何もないところからひびが入っていく
ひびは大きくなっていき次第に穴となり2、3人通れそうなぐらいに
広がったところで止まった
穴から見えるのは白色の床や柱と真っ青な空だ
そして、白を基調とした服を身につけた少女を先頭にぞろぞろと入ってくる
そして、先頭にいる少女は少年に向かい言い放った
「ご機嫌うるわしゅうございます、アリスさん」
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