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職業安定所という名の人類社会。
50年前に発生した魔族戦争は同時に世界恐慌も引き起こす。世界各国は失職する者たちが増加の一途を辿る。数百数千万の失業者による暴動や犯罪。この隙を狙い、魔族帝国は次々と人類の国々を滅ぼしていく。
職がないので魔族帝国に打ち勝つ策がない。諸葛孔明という軍師は「職業安定所の策」を唱え、世界規模の大企業に出資させて職業を支援する組織を結成する。職業安定所にすべての権力が集中し、職業安定所は「組織」というか連邦国家のような統治機構となった。
職業安定所は失職した元軍人たちに「海上保安庁」という職業のお世話をする。海上保安官たちは職業安定所の正社員となる。公務員といってもいい。世界全ての海をこの海上保安庁に制覇させ、海上封鎖により魔族帝国を追い込む。
警備員という自営業契約で大量の無職を職業訓練で半年で成り立て民兵として育て上げ、海上保安庁と協力させて魔族帝国を滅ぼす。
それが魔族帝国滅亡のプロセスとなった。
50年後の現代。数百年間という長い寿命を誇る魔族たちは野盗として全世界に散らばり、人類に対して悪事をはたらく。
これを自営業警備員たちが対処をする。さすがに市町村の1自治体が滅びかねない状況に陥れば、そこで海上保安庁が出動する。
自営業警備員によって治安維持が保たれている現代社会となった。
最近、自営業警備員たちの間である噂が広まる。「成人高校生」という職業。「成人高校生適性」があると診断された人間のみが定職につけれる職業。彼らは職業安定所の職業訓練学校の「成人高等部」という部署に所属する準公務員。職種は高校生であるが仕事の内容は多岐にわたる。高校生という名の便利屋といってもいいだろう。
御祇園音瀬(おぎおんオトセ)は大学卒業後、就職するも世間知らずすぎてわずか数ヶ月で辞職し、実家に引き籠もる。しかし面倒をみてくれた両親が魔族たちの襲撃で殺されてしまい路頭に迷う。
親戚や独立した兄弟たちはオトセを腫れもの扱い。両親の仇討ちと成人高校生適性保持者のために見事「成人男性の女子高生」となる。
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