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ビックワーウルフは遠吠えをあげる。魔族戦争のとき、職業安定所が繰り出してきた海上保安庁の保安官どもは魔族軍人たちと互角にわたりあった。しかし職業安定所で定職についたばかり彼らはあまりにもひ弱すぎた。
生き残っている警備員は10人と女子高生が1人。ビックワーウルフは容赦なく全員虐殺する気で疾駆する。
〓オトセ〓
「高校生スキル!! 若い!!」
女子高生という定職についたオトセの肉体は女体化し、若さを手に入れた。手術ではなく魔法で女体化した。本人の意思次第で元の体臭キツすぎる肥満体で禿頭の容姿に戻ることができる。女子高生を満喫しているド変態――御祇園音瀬(おぎおんオトセ)は駆け抜ける。
職業安定所で「女子高生の陸上競技」を学んで体力を鍛え、「エアッタカーでの戦闘の基礎」という武術指南書を書店で購入し自力でマスターする。
ビックワーウルフはオトセをただのガキだと思い込んでいた。それはそうである。どう見ても十代後半の女子高生にしか見えない。
ビックワーウルフは額にエアタッカーの銃口を当てられる。そしてオトセは引き金を絞り込む。
ナイフくらいの大きなステーブル(ホッチキスの芯)が超高速でビックワーウフルの頭部を貫いた。
まさに瞬殺であった。
ビックワーウルフは草原へと突っ伏す。
〓銃器警備員〓
「あ、あんた何もんだ!! 海上保安庁のプロの兵士たちじゃないと勝てない大物をいとも簡単に殺したんだ!! しかもガキのくせに!!」
〓戦士警備員〓
「言っておくが!! 貴様は連邦国家――職業安定所の規則に違反しているんだぞ!! 未成年とはいえ捕まるぞ!! 海上保安庁の牢獄に入れられるぞ!!」
オトセはもうブチ切れるしかなかった。先程から何度も未成年の本当の女子高生ではなくて「女子高生」という名の職業についた中年親父であると。
〓オトセ〓
「成年高校生適性……。幼少期に聴力が異常に発達している人間がプロの音楽家になれるように……成年高校生適性があると診断された人間は『高校生』になれうことができる。オデはただ女子高生に就職しただけだ……」
オトセはビックワーウルフの死体に近づき、ビックワーウルフの首元にぶら下がっているタグを見つけて回収する。そのタグを職業安定所に提出すれば報奨金がもらえるからだ。
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