『反乱軍』

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【音瀬律人】 「シン、次は俺とだ!」 【シン】 「鳴貴はもう終わり?これから面白くなってきたんだけど」 【律人】 「どうやらお前の拳が相当効いたようだ。気絶仕掛けている」 【音瀬鳴貴】 「く……そんな……馬鹿な!」 【律人】 「下がれ、鳴貴」 “高山流水(こうざんりゅうすい)・ 癒しの旋律” 律人の身体から白い気が湧き上がると鳴貴の身体に白い気が纏わり付くように包み込んだ 【シン】 「何をしているの?」 【律人】 「ちょっとした体力回復能力だよ」 みるみると鳴貴の表情が穏やかに変わっていく 【鳴貴】 「すまねぇ兄貴」 【律人】 「次は俺がやる、シン!」 【シン】 「わかった。それじゃ行くよ!」 シュッ はぁぁぁッ! バシッ 律人はかろうじてシンの拳を受け止める 【律人】 「……思ったより凄まじい威力の拳だね、鳴貴が気絶仕掛けるのも無理はない」 【シン】 「そうなの?僕はまだ全力じゃないよ」 【律人】 「なんだって?君は一体……?」 【シン】 「それじゃ、全力を見せてあげる」 シンが右手拳に集中力を込めて一撃を放とうとしたその時! バシッ 【音瀬響鬼】 「そこまでだ。それ以上やったら律人が死ぬ」 【シン】 「えっ?」 【律人】 「どういうこと?親父」 【響鬼】 「シンが今繰り出そうとしていたのは、明らかに特質能力の一部だ。もし喰らえばお前の身体は吹っ飛んでいた」 【律人】 「そうか……それに気付けなかったなんて情けないな」 【響鬼】 「シンが特質能力を使えることなど聞いていないからな、だが恐らくシン自体もそれに気付いていないのではないか?」 【シン】 「特質能力って何なの?」 【響鬼】 「自分の力を理解していない者ほど抑え方がわからない、だからお前は律人が死ぬ可能性すら考えなかった」 【シン】 「ごめんなさい」 【響鬼】 「特質能力は十年に一人の割合で身に付ける者がいる特異能力だ。俺の親父、源一からは何も聞いていないか?」 【シン】 「さっき源一おじさんの妻が特異能力だったってことは聞いてたよ!」 【響鬼】 「そうだ。俺のおふくろは予知能力を持ち、お前の存在について予見していた」 【シン】 「僕はその能力を無意識に使っていたの?」 【響鬼】 「そういうことだ。確かお前は記憶喪失だったな、記憶を失う前に身に付けていた可能性は高い だろう」 【律人】 「シンは制御の仕方がわからない、どうやって身に付けさせればいいんだ?親父」 【響鬼】 「戦いに慣れていくしかない。だからこそ味方ではなく、敵との戦いで身に付けていくんだ」 【シン】 「わかった。頑張るよ!」 【響鬼】 「律人はシンの気の流れを抑えることができる、暴走し掛けたら旋律で癒してやれ」 【律人】 「わかった」 【鳴貴】 「チッ、負けたままってのはムカつくけど、明日からよろしく頼むぜ、シン」 【シン】 「こちらこそ、よろしく!鳴貴」 【人々】 「あれが噂の予言の子か……とんでもない力だ」 ところどころで視線を感じるシンだったが、なんとなく意味は伝わっていた
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