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【音瀬響鬼】
「相変わらずの音瀬一家が指揮を取る者が多くて申し訳ないが、俺の妻も隊長になる」
【人々】
「おおう…“音瀬鈴香(おとせすずか)”さん…可憐でありながら戦場になると気性が変わると噂されている人だ」
【音瀬響鬼】
「一応妻は帝国軍で過ごしていた頃に上等兵に就いていた。人を束ねられる力はじゅうぶんにある」
【音瀬鈴香】
「みなさんよろしくお願いします」
【音瀬律人】
「母さんが隊長?女性で指揮を取る人はただ一人だけじゃないか!」
【鈴香】
「あら律、私を女だからと思って甘く見ない方が良いわよ?帝国軍人だった頃の私の異名は『戦乙女』だったのだから」
【律人】
「で、でも…!」
【響鬼】
「律人、いつまでも甘えるな。俺たちは実力のあるものを選んででも生き残らなければならない、お前にならそれがわかるだろう?」
【律人】
「あぁ…でも約束してくれ、絶対に母さんを死なせないでくれ」
【響鬼】
「当然だ。その為の総隊長であることを侮るな」
【鳴貴】
「兄貴のくせにそんな約束してどうすんだよ?マザコンかよ!」
【律人】
「ならお前はどう思ってるんだ?」
【鳴貴】
「母さんが死んだら嫌なのは当たり前だ、でも覚悟を決めなければ生きていけないだろ」
【律人】
「そう…だったな」
【鳴貴】
「母さんだってやる気出してるんだ。俺たちがしっかりしなければ母さんのお荷物になる」
【律人】
「弟のお前に励まされるとはな、俺もしっかりしないといけない」
【鳴貴】
「うるせーよ、女だとか弟だとか関係ない、俺たちは明日をどうやって生き抜くのかが重要だ。母さんの方は軍を信頼するしかない」
【律人】
「それもそうだな」
【シン】
「二人は仲が良いね、鳴貴は子どもっぽいのに大人な所もあるんだね」
【鳴貴】
「子どもは余計だバカ」
【シン】
「はは…ごめんごめん」
【響鬼】
「お前たち…マザコン、ブラコンに浸るのは良いがそろそろ進めさせてくれ」
【律人・鳴貴】
「誰がブラコンだ!」
【人々】
「さすがは音瀬一家の長男と次男!息があってるねぇ」
【律人】
「鳴貴…とりあえず反応するな」
【鳴貴】
「わかってるよ…そんじゃ親父、話進めてくれ」
【響鬼】
「なんだ…ようやくブラコン芝居が終わったか」
【鳴貴】
「だからブラコンじゃ…!」
【律人】
「落ち着け鳴貴、今言ったばかりだろう?」
【鳴貴】
「…くそっ!」
【響鬼】
「ははは!すまない、それでは続きを話そう」
【シン】
「やっぱり子どもだね!」
【鳴貴】
「てめぇ…後で殴らせろ!」
【律人】
「ったく…お前たちってやつは」
【響鬼】
「妻は第一指揮隊長、第二は“大久保賢治(おおくぼけんじ)”、第三は“清水由良(しみずゆら)”が選ばれた」
【人々】
「元軍人が四人も!後の隊長はどうなんですか?」
【響鬼】
「残り五名の隊長は軍人ではないが、実力のある隊長たちだ。前に出てきてくれ」
タッタッタ
【秋宮久人】
「どうも、第四指揮隊長に任命された“秋宮久斗(あきみやひさと)”です。ふつつかものですがよろしくお願いします」
【人々】
「よろしく頼むぜ!」
【金田徳人】
「第五指揮隊長に選ばれた“金田徳人(かねだのりひと)だ。ガキの頃は金だせと不良に煽られたものだが、カネを出すよりも能力が開花されちまった金(かね)ちゃんです!だはは!」
【人々】
「ダジャレなのか…?ところで、その能力とは何ですか〜?」
【徳人】
「本当に金を出せたら嬉しいんだがな、残念だが黄金の盾までしか出せない」
【人々】
「それって凄いじゃないか!それこそ金になるんじゃないのか?」
【徳人】
「俺の能力は一時的な防御でしか黄金の盾が出せない、だがここにいる隊長格一の防御力は保証する」
【人々】
「それなら安心だ!」
【三谷裕介】
「第六指揮隊長の“三谷裕介(みたにゆうすけ)”っす、学生の頃はマジックばっかやってたんで相手を驚かすのは得意っす」
【人々】
「マジックか、敵の予想を越える能力を見せるのが得意なのだろうか」
【倉本晴弘】
「そして私は第七指揮隊長“倉本晴弘(くらもとはるひろ)”です。うちは主に回復役だと思ってください。戦いに向いてはいませんが、代わりに副隊長二名がうちの戦力です」
【響鬼】
「倉本は隊長格屈指の回復役だ。何かあれば第七指揮隊に救護を要請してくれ」
【人々】
「了解です」
【伊藤文博】
「みなさん、こんちわ!第八指揮隊長“伊藤文博(いとうふみひろ)”です。隊長格一の攻撃能力を有します」
【人々】
「よ、よろしく!…馴れ馴れしいのか礼儀良いのかよく分からない人だな」
【響鬼】
「皆は五名の隊長が軍人ではなかった為不安も多いかもしれんが、彼らは非常に優秀な成績をおさめた隊長たちだということは認識してくれ」
【人々】
「もちろんだ!俺たちもそのことは理解しているつもりだ」
【響鬼】
「感謝する。全隊長の軍編成に異議があれば素直に申してほしい、源一とともに再編成を考える」
【人々】
「今のままで大丈夫だ!」
【響鬼】
「ありがたい、では作戦についてだが総団長率いる団長格たちは原宿区方面から攻める。渋谷区は我々総隊長率いる隊長格、品川区には指揮班の総指揮官率いる指揮班長格で散らばってもらう」
【人々】
「何か理由があるのですか?」
【響鬼】
「まずは我々が反旗を翻す反乱軍である証を国民にアピールする。そして敵軍に察知させ帝国軍基地の戦力を分散させる」
【人々】
「国民にアピールをしてどうするのですか?」
【響鬼】
「あくまでも全員が反乱軍に参加するわけではないが、こちらの力を示し敵軍を屈服させる。国民の安心感を掴み反乱軍に引き入れられれば上等だ」
【人々】
「敵に勝てる保証はあるのですか?」
【響鬼】
「仁介の方でもいくつか師団長部隊を派遣してもらう。強い敵は仁介たちが鎮圧してくれるだろう」
【人々】
「なるほど…ただ敵の動きが読めない以上は危険なのでは?」
【響鬼】
「大丈夫だ、強い連中は仁介が見張っている。
この戦いで連中が足掻くことはできない」
【人々】
「それなら心配なさそうだ」
【響鬼】
「万一に備えて強敵と遭遇した場合は速やかに退却せよ!基地が制圧できれば後の畳み掛けはいくらでもできる」
【人々】
「了解した!」
【響鬼】
「ではこれで軍議を終える、明日に備えてゆっくり休んでくれ!解散!」
【人々】
「おぉぉぉぉぉぉぉーッ!」
反乱軍は大きな士気を見せた
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