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もともと、私がこの話に乗ったのは
正社員への登用の近道だと思ったからだ。
けれど、ここではもうそれは望めそうになかった。
秘書などという職種も初めてで、特に優秀なワケでもない。
おまけに従業員との折り合いが悪いときている。
だから、私は数ヶ月後の契約期間終了の日をゴールだと決めていた。
「後もう少し……」
心の中で呟くと私の背中でドアが開いた。
その音で顔を上げると、部屋に入ってきた布川さんが私のデスクの前で足を止めた。
彼はその場で小さなため息をつくと、自分のデスクへ向かい、手早くデスクの上を片付け始めた。
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