曰(イワ)くつきの人事 -2

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もともと、私がこの話に乗ったのは 正社員への登用の近道だと思ったからだ。 けれど、ここではもうそれは望めそうになかった。 秘書などという職種も初めてで、特に優秀なワケでもない。 おまけに従業員との折り合いが悪いときている。 だから、私は数ヶ月後の契約期間終了の日をゴールだと決めていた。 「後もう少し……」 心の中で呟くと私の背中でドアが開いた。 その音で顔を上げると、部屋に入ってきた布川さんが私のデスクの前で足を止めた。 彼はその場で小さなため息をつくと、自分のデスクへ向かい、手早くデスクの上を片付け始めた。
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