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「さっき廊下でみんなと行き会ったぞ?随分着飾っていたが、君はまた置いてきぼりか?」
私は布川さんに視線を投げた後、すぐに自分のデスクのキーボードを見つめた。
思わず手を伸ばしてB・A・K・Aと打つ。
「わかってるくせに何でそんな意地悪言うんですか?」
「別に意地悪したつもりはないけど。君はああいうのについて行くタイプとは思えないから。もしも誘われたって断るんじゃないのか?」
「まあ……そうですけど」
布川さんは意外に私のことをよく知っている。
「じゃあ、俺の誘いにはのってくれるかな?飯でも行くか?」
「え……。室長まで巻き込まれますよ?私、『社長の愛人』だから、今度は室長の何になっちゃうんだろう」
私が苦笑いを浮かべて言うと、
布川さんはパソコンのキーボードを打ちながら、モニター見つめたまま返事をした。
「……どうせなら『恋人』にしてもらおうか?」
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