社長の右腕

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……したい…… 酔ってる時はしたくなるって、 そんな統計はどこかで発表されていなかっただろうか。 最後にしたのはいつだったっけと 思い出そうとしてやめた。 たった一人で寝そべる深夜。 別の選択肢もあったのに。 私は布川さんの目を思い出していた。 まだ帰りたくないって 言葉に出来ない想いを映した彼の瞳が 瞼(マブタ)の裏に浮かび上がる。 寝返りを打って 下着の中に手を伸ばす。 誰に聞かれるわけでもないのに 私は唇を硬く結んで声を抑えた。 呼吸と鼓動が落ち着いて、 ベッドから身体を起す時には少し視界がぐらついた。 ふと見降ろした枕元には 私が握りしめたシーツの皺がくっきりとそのままの形を残していた。
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