社長の右腕

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週明け―― 満員電車が私をいつも通りに新しい一週間へと運んでくれる。 「おはようございます」 「おはよう」 布川さんと挨拶を交わした時、 金曜のお礼を言わなかったのは、まわりに他の社員がいたからだ。 私が言葉の代わりに口元で小さく微笑んでみせると、 布川さんもそれに応えるように目を細めた。 そんな風に視線だけで意思が通じてしまうと、 何だかいけないことをしているかのような気分になる。 私は布川さんから目を逸らし、 無意識に首を小刻みに振った。
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