社長の右腕

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席を外す時は電話を切り替える操作を行う。 そうすることで電話は秘書室で受けられるようになるのだ。 ボタン一つで切り替えを終え、部屋を出て役員専用の給湯室でコーヒーを淹れる。 こちらの給湯室ではブランド物の高級カップを備えている。 丁寧に取り扱わなければすぐに割れてしまいそうなほど華奢なカップは社長のお気に入りだった。 社長にはミルクだけを添え、彼には砂糖とミルクの両方を添えてお盆に乗せると、 私は社長室へ引き返した。 つい先程の彼の意味深な言葉を思い出して、 変に緊張してしまった。 私はコーヒーの香ばしい香りを吸い込むと、 いつもよりも小さなノックで中の二人に合図した。
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