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「失礼します」
私が入室すると、二人は会話を中断させたようだった。
不自然な沈黙にならないように、社長が私に笑顔を見せた。
「ありがとう」
その後に聞こえた小さなため息を
私は聞き逃さなかった。
社長……?
社長の表情から、
彼が『いい話』を持ってきたようには思えなかった。
社長が心配になりながら、
私は向かいに座る徳島部長を軽く睨んだ。
彼は私の視線に気付くと、
悪びれる様子もなく、むしろ薄らと得意気な表情を浮かべた。
その視線に逆に私がたじろいでしまう。
私はお盆を脇に抱えてお辞儀をすると、
彼から目を逸らすように身体の向きを変えた。
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