社長の右腕

5/33
前へ
/33ページ
次へ
だけど…… 彼にはいつも手ぶらなのとは別に、 もう一つ、特徴があった。 社長室にみえるたびにたった一言だけ挨拶を交わす。 「お疲れさまです」 私が頭を下げると、彼は返事をしないまま視線だけを私に向ける。 その目が…… 何とも言えない感覚を私の中に残すのだ。 私の噂は社内中に広がっている。 最初は彼も私を社長の愛人として蔑(サゲス)むように見ているのかと思った。 だけど…… そうではないような気がした。 けれど、そうではないにしろ、 彼の視線の意味がわからないので 彼が…… どうしようもなく 苦手なのだ。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

887人が本棚に入れています
本棚に追加