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「ホントか?」
「ホントに決まってるじゃないですか!」
私は布川さんと距離を詰めて顔を突き出して言った。
本当に……
彼がいてくれて
よかった。
すぐそばで揺れる彼の腕にすがりつきたくなる。
彼も私の視線に気付いたのか、
縮まったままの私との距離を離そうとしなかった。
「このまま帰るか……?」
彼の言葉は
それを望んでいないように思えた。
その腕を……
つかみたい……。
このまま彼の腕にすがればどれ程楽だろう。
でも……
彼は将来がある身。
今は秘書室長で
大会社の跡取り息子。
私はほろ酔いの身体に
さらに演技を加えた。
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