彼の思惑

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「だから、私にそんな能力は……」 ……ありません。 私の声は徳島部長にかき消された。 「それとも誤解ではなく、彼女とはそういう関係なわけか」 「部長、何言ってるんですか!?」 私が答えるものの、徳島部長は私を見ようともせず、おまけに布川さんでさえも私を視界に入れていなかった。 「……だとしても、あなたには関係ないでしょう?」 布川さんが否定しなかったので驚いてしまった。 けれど、私が口を挟む隙も無く二人の会話は続いていた。 「……確かに、まったく関係ない」 部長は口元に笑みを浮かべて返事をした。
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