彼の思惑

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「室長、もしかして……」 私は布川さんに代わって切り出した。 彼は私の言葉を聞きながら、 今にもまたため息をつきそうだった。 「……そのとおりだよ」 彼はそう言うと、溜めていた息を吐き出した。 私の予想は的中した。 秘書課は徳島部長の目には 生産性の低い部署として映っているのだろう。 もしくは、彼が何かに基づく計算でそれを裏付けたのかもしれなかった。 けれど、私は布川さんほど驚きもせず、ショックでもなかった。 むしろ、納得さえしていた。
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